黄金の痛み
†
『シロウ、貴方を──────────────愛している。』
そう言って、少女は消えた。
黄金の光の中で、何も残さず。何も濁さず。
いっそ鮮やかな別れだと思う。
お互いに悔いも未練も無い。
王たる少女は役割を果たす為に己が時代へ帰り、主たる少年は役割を守ってその背中をそっと押した。
だからこれは2人にとっての理想。
この上ない最上の別離となった。
だが、そんなものは真実をさしてはいない。
少年が胸に秘した想いがあった。
少女が胸に秘した想いがあった。
それを殺して、それぞれの役割を守り抜いただけの話。
だからそれは2人にとっての悲劇。
少年は叫びたかった。縋って懇願したかった。
ただ『行くな』と少女に告げたかった。
少女は叫びたかった。縋って懇願したかった。
ただ『生きたい』と少年に告げたかった。
触れ合った心は離れ、抉られたように傷となって2人を苛む。
胸からは鮮血が溢れていく。
1歩ごとに別離の血痕は刻まれ、2人が離れた時の分だけ痛みは増していく。
少女の消えた丘を振り切るように、少年は帰路についた。
歩み進める少年の胸の内では少女との思い出が荒れ狂う。
少女の笑顔。
少女の仕種。
少女の声色。
その全てが、少年の頬を濡らす雫となって熱く流れていくだろう。
これから幾晩も少年は胸の痛みに呻くだろう。
これから幾朝も少女の不在を痛感するだろう。
半身を失った孤独の辛さに泣き叫ぶのだろう。
大樹の根で眠る少女とて、それは同じ。
少年の笑顔。
少年の仕種。
少年の声色。
その全てを抱いて、ずっと夢に見るだろう。
目覚めぬ夢の中で、ずっと少年を想い続けていくだろう。
少年は1度だけ、丘を振り返る。
そこには何も存在せず、そこには全てがあった。
少女の姿を幻視する。美しい騎士を、優しい少女を。
「ああ。俺も──────────────おまえを愛している。」
最後にそう言って、丘を去る。
時が流れれば傷は塞がる。
しかし深すぎた傷は癒えはしまい。
背負い続ける傷跡はその実、きっと生涯で最も大切な傷となる。
未練はある。
後悔もある。
けれど、これが2人の選んだ結末。
不器用で滑稽で、けれども尊い選択。
──────────────それを、この世の誰が笑えると言うのか。
夜は去り、今日が始まる。
ホ シ
地球が生まれたその時から変らぬ法則に従って、少年は歩き続ける。
いつかきっと、その理想に追いつける事を信じて。
リソウ
胸を張って、少女に会いに行けるように。
†──────────────Fin・・・
あとがき・・・っぽい会話。
・いやね。ぶっちゃけた話。「無限の世界」なんだけどさ。
「うん。なんだ?」
・まったく書けない。マイッタネコリャ。
「書けよ。あんた、自分でやり始めた事でしょうに・・・」
・ってなわけでちょっと短編に浮気してみたりー♪
あははー、やっぱセイバールートが羽山的には一番好きなEDだったり♪
「世間ではUBW・・・つまり凛ルートが人気だけどね。因みに私は桜ルートが好きだよ。」
・凛ルートもねぇ・・・熱いし好きなんだけど・・・さぁ・・・
「まさに燃えと言えるシナリオなんだけど・・・ねぇ・・・」
『ぶっちゃけ、士郎じゃなくてアーチャーが主人公にしか・・・』
・だってEDも美味しいとこアーチャーがもってっちゃうし。
「バーサーカーは活躍してないし(これ一番重要らしい)」
・イリヤは死んじゃうし。
「そもそも臓硯の糞蟲は生き残ってるし。」
・女の子が糞蟲とか言わないの・・・まあ気持ちは解かるけど。
「・・・その点。HFはいい・・・闇に囚われてもイリヤを想う狂戦士・・・本来なら、そんな機能なんて
狂化した時点で失っているだろうに。それでも(以下略」
・発狂した筋肉好きは放置しましょう。その方が地球のためになると本気で信じてる。
さて。しばらく更新もしねえで短編ばかりチマチマと書いていた訳ですが。
全ては忙しすぎる社会が悪い。うん。本当に嘘。
きっと胃潰瘍とか十二指腸潰瘍とか抜歯したからとか、要するに自業自得だと思うんだ。
っていうか気が付けばうちのサイトも10万Hit目前ですね。
わお。目指せ100万。無理だ。
そんなわけで暫くは短編の掲載が続くかもしれません。
「さっさと完結させないと取り上げるよ?」
・帰ってきやがったのか・・・って何を?
「お前の書庫の鍵。」
・さて。頑張って書こうかな。まったく本の保存の為に地下になんぞ書庫を作るもんじゃねえな。
あとマスターキーは奪われちゃ駄目だと思う。いや真剣に。
「ん。ああ、そうだ。PS2とかゲームも没収したから。」
・鬼か貴様。
「黙れ駄犬。」
2007/05/06(ファミレスでの雑談から抜粋。)
・・・なんでもいいけど、本編と後書きの量が変らないってのは問題だと思うんだ。
もりもり元気が湧いてくる!