キャラ崩壊はデフォですよ?

〜騎士と店主。割合は秘密にしたほうがいい〜






◆


グラスを磨いて棚へしまう。
ちょうど、フィナンシェも焼き上がったようで、オーブンのタイマーが鳴った。
かなり大きなプレートに乗せて焼いたから、付属の器具では不安定だと思い手袋を。
オーブンを開けた瞬間。中から香ばしい匂いが嗅覚を刺激して、食欲がそそられる。

「うん。いい色だね」

一つ一つ丁寧に肩から外して、幾つかは包装用に別ける。
今日はこれから貸切の予約が入っているのだけれど、準備には間に合ったようだ。


からん、とドアのベルが鳴って、お客が来店した事を教えてくれる。


いらっしゃい。とお決まりの挨拶を口にしながら入り口へ振り返ると、沢山の女の子と
男性がひとりという構成の団体さん。恐らく、この人達が予約のお客さんだろう。

「予約したスカリエッティだが」

「はい。1階の席を自由に使ってくださいね。煙草は、吸わないようですね」

「この娘達が生まれて辞めたんだよ。やはり身体に悪影響だからね」

あまり、と言うか全然似ていないが、全員が男性の娘さんらしい。
だが娘の身体を思って煙草を辞めるとは…………良いお父さんのようだ。
彼女達を見る彼の目は穏やかで、とても彼女達を想っているように見える。


しかしこの男性。前に何処かで見た事があるような気がするね?


「ドクター。妹達が待っています」

「いけないな、ウーノ。外では父と呼んでほしい」

…………なにやら複雑な家庭のようだ。あまり触れないようにしようね。
他人が簡単に口を出していい問題じゃあないしね。

ん? ちょっと待つさね。
今あの人、ドクターって言ったよね?



『予約したスカリエッティだが』

『ドクター。妹達が待っています』



ドクター…………スカリエッティ…………
うーん。やっぱり聞き覚えがある気がするね。
何処で聞いたのか…………連想するイメージは、フェイト?
駄目だね。思い出せないさね。





ごめん嘘。思い出したさね。





やばい。どうしようかね、思いっきり次元犯罪者じゃいかね!
そう言えば前にフェイトと一緒に調べたっけねーとか現実逃避してる場合じゃないよね。

席へ向うスカリエッティとウーノと呼ばれた女性の背中を見送り、カウンターへ戻って
大皿に盛り付けた焼き菓子とお冷をワゴンに乗せる。
そうしている間も、視界の隅で彼女達の様子を窺っ…………ってちょっと!?

「あ。破れちまった」

「戻しておけばバレないっスよ」

面白そうに本を眺めていた赤毛の女の子2人組が抜き取った本の表紙を捲ってそのまま……千切った!?
片方はベリーショートで、もう片方は結い上げた女の子達。
名前を知らないと赤毛としか描写できなくて辛いんだね。まぁ後者は濃いピンクにも見えるけど。

「こら。乱暴に扱うな。お前はまだ調整中なんだぞ」

「ほら本を出すんだ。店主が来たら姉が一緒に謝ってやる」

何やらスルーしちゃいけない発言があったような気もするけど、紫のショートカットの女性と
右目を眼帯で覆った銀髪の少女が2人を叱った。そうか。君は姉だったんだ。てっきり妹かと思ってたさね。

…………悩む。
ぶっちゃけ、今からでも通報したほうがいいのは間違いない。
だってアレだよ? 罪状のリストを開くとスクロールバーがミリ単位になるような人だよ?

ワゴンを押して4つ繋げたテーブルの、端から順にお冷とおしぼりを、4人にひとつの割合で
焼き菓子を乗せた大皿をひとつ配置していく。
眠そうに瞼が半分ほど落ちている少年の前に皿を置いたとき、少年の目が少し開いたのが微笑ましい。

そう言えば、エリオやキャロも、お菓子を作ってあげると喜んでくれたっけね。
あの子達は2人とも…………色々あったからね。色々。

懐かしさを感じながら配膳を続け、ついにあの少女達の席に。
拗ねたように唇を尖らせて、赤毛の少女は座っている。
テーブルには表紙の取れた本が一冊。だけど、僕からは何も言わない。

ただ、少女の横で待つ。
自分から言うのを待つ。

言い出せない妹を思って、途中で口を開こうとした銀髪の少女と視線が重なる。
口元に指を当てて、彼女を止める。こういうのは、自分から言えなければ駄目だから。
僕の意図に気付いた…………訳じゃなさそうだけど、彼女は頷いて開きかけた口を閉じた。



気付けば、全員が僕と女の子を見ていた。



少女は、何か言おうと口を開いて、けれど言葉に出来ずにまた閉じる。
何度も。何度もそうした。



「頑張って」



椅子に座った少女と視線を合わせるために膝を着いて、怒っていないと笑ってみせる。
スカリエッティも、興味深そうに見ていたけれど、僕の言葉を引き継ぐように「ノーヴェ」と呼んだ。
それがこの少女の名前なのだろう。
ノーヴェはスカリエッティを見て、少し俯いて


「ご、ごめん。破っちまった」


小さく、けれどしっかりと言葉にした。

曲げていた腰を伸ばしながら、ノーヴェの頭をぐしぐしと撫でて、テーブルの本を手に取る。
うん。これくらいなら、修復魔法で簡単に直せるかね。
2階の本棚を整理していたインデックスを呼んで本を預けた。

「大丈夫さね。ちょっと加減を間違えちゃったんだよね」

「すまなかったね。その子はまだ調整中で───────────」

「ドク、じゃなくて、お父様!」

また調整中という単語が出てきたけど、今はそんな事より優先するべき事がある。
手早く修復を終えたインデックスから本を受け取り、表紙を見る。
それは懐かしい、様々な出会いがあった世界の童話だった。

「本は好きかね?」

「あんまし、読まねーけど、なんとなく面白そうだったから…………」

「じゃあ、これはプレゼントするね」

ノーヴェが驚いて、弾かれたように顔を向ける。
…………この子の髪が赤いからか、それとも似ているからか。

驚き。戸惑い。躊躇い。疑問。

いつか見た、人を信じられなくなった男の子の姿が重なる。

「これはね、僕が昔住んでいた次元世界の童話集でね。うちじゃ、あんまり読んでくれる人が
 いないんだよね。だから気にしないで貰ってあげてほしいさね?」

差し出す。
受け取ってもいいか尋ねるように、スカリエッティを見て、彼が笑顔で頷くと躊躇いながらも
おずおずと手を伸ばして、本を手に取ってくれた。

「あ、りがと…………」

「読んでくれる人の所にあったほうが、本も喜ぶさね」

無意識にノーヴェの頭を撫で続けていた事に気付く。
名残惜しい気もするけど、仕事中だと諌めて引き剥がす。


「じゃあ、注文は何にするかね? うちの豆と葉は良い仕事してくれてるさね?」


津波のような、怒涛の注文が返ってきた。
と言うか『ッス』口調の子と水色の髪の子。
全部とか凄まじい注文は冗談だよね?
ウーノが止めなくても、冗談だって言ってくれたよね?


こりゃ助っ人を呼んでおいたほうが正解だったかもしれない。呼んでないし、今更呼べないけど。


◆


ふん…………息抜きにとディードが紹介してくれた店だが、彼女の言葉通り、中々面白いマスターのようだ。
人は私を狂気の科学者と捉えており、あながち間違いではないが、人を見る目というものは持っているつもりだ。
少々乱雑な性格のノーヴェが、本当は少女らしい繊細な面もあると見抜いていたように見えた。

いや。それとも近いサンプルケースの世話をした事があるのかもしれない。

私の立場上、彼女達をあまり外へ出歩かせる訳にはいかず、私自身が真っ当な家庭環境を知らない以上、
どうしても彼女達の情操面での教育が歪んでしまうのは仕方が無いと考えていたが、そうか本か。
本はいい。幼い頃の私も、童話や御伽噺を読んで、本の中の人物達を夢に見たものだ。

この店はミッドの市街地からは多少離れているし、私達の基地から遠すぎず、近すぎない。
ディードが言うには密かな穴場と評判らしい。
1週間前に電話を入れておけば、今日のように貸切にもしてくれるようだ。
週に2度…………いや1度は、彼女達の情操教育の観点から見ても、此処の本は児童書から純文学、
神話や参考書まで置いてあるこの店に連れて来てあげたい。

「珈琲もこのシュークリームも、絶品だしね」

『マスターの師匠は、本場で鍛えられたパティシエですから、その評価を聞けば喜ぶと判断します』

独り言のつもりで呟いた言葉に、予期せず返事が返ってきた。
娘達ではないと考えると、すぐ横に店主がインデックスと呼んでいた人型のユニゾンデバイスが浮かんでいた。

そう言えば、インデックスという名のユニゾンデバイスと言うのも聞き覚えがあるな。
確か第2級捜索指定ロストロギアの通称だったはずだが…………偶然だろうか?

「あらん可愛らしい。あのマスターのパートナーデバイスですのん?」

『はい。正式名称は禁書目録。通称はインデックスと呼称されています』

いや偶然ではなかったようだ。
まさか洋菓子店の店主が、ロストロギアのマスターだったとは。
やはり彼は興味深い人物のようだ。

『どうぞインデックスと呼称してくださいと申請します』

「解りましたわん。インデックスちゃん」

『呼び捨てで結構ですと、半ば諦めつつ提案します』

「えぇ、インデックスちゃん」

クアットロの目が、面白い玩具を見るような目になっている。
人をからかったり騙す事を面白がる性格になってしまったのは、やはり彼女に与えた固有技能が原因だろうか。
間違っても私の因子の影響ではないと思いたい。
うむ…………やはり教育は必要だな。

顔を上げて店内を見渡すと、トーレとチンクが店主と話をしていた。
観察したところ、どうもお勧めの本を聞いていたようで、店主が2階の本棚から持ってきた本を渡している。
戻ってきたトーレにどんな本を借りてきたのか尋ねてみた。

「先程ノーヴェに渡した本と同じ世界の本です。身体を動かす事が好きだと伝えると、これを渡されました」

「翻訳データが付与されているのか。新撰組…………昔の騎士達の話のようだね」

「はい。高い志を持つ者達が集まり、戦った話だと聞きました」

「トーレは、そういう誇りとか矜持というものを評価しているから、気に入るかもしれないな」

邪魔をしてはいけないと思い、話を切り上げる。
此処にいられる時間は夕方まで。折角だから楽しんでもらいたい。

再び店内を見渡す。
チンクもトーレと同じように、さっき受け取った本を真剣な顔で読んでいる。
そう言えば、セインとウェンディの姿が見えない。
何処へ言ったのだろうかと上のフロアを見上げてみると、本を探していたらしいウーノに何か聞いていた。

セインが何かを指差した。
その先に視線をずらしていくと、壁際に立派なピアノとサックスが置いてあった。
ふむ。分析すると、手先の器用なウーノにあの楽器を演奏できないかと聞いているといったところか。

しかしウーノにピアノやサックスを演奏する技能はなかったはずだ。
その証拠に、2人に対して首を振っている。やはり分析は正しかったようだ。

だが、がっかりした様子の2人を見ていると、何とかしてやりたくなる。
私は席を立ち、店主のいるカウンターへ向う。

「おっと、珈琲の御代わりかね?」

「いや、少し聞きたい事があってね。上のフロアにあるピアノとサックスを演奏できるかい?」

「えぇ。できるさね。何かやるかね?」

「セインとウェンディが、どうも興味があるみたいでね。悪いが付き合ってやってくれないかな?」

「勿論さね」

店主は快く引き受けてくれた。
誰かが御代わりを注文したらしく、紅茶と珈琲を満たしたポットをトレイに載せて、運んでいった。
成程。オットーとディードだったか。

ああオットー。珈琲をそのまま飲むのは君にはまだ…………そうだろう、苦いだろう。
店主の助言で砂糖とミルクを少しずつ加えて、丁度良い味になったのか満足そうだ。

…………店主。顔が引き攣っているよ?
僕も砂糖を5杯も入れるのは流石にどうかと思うがね。

「インデックス。フルサイズ」

『曲は何にしますか?』

「うーん…………最近はクラシックやジャズが多かったから、久しぶりに東方にしようかね」

『ではオーエンのアレンジをリクエストします』

「好きだね、インデックスも。僕も好きだけどね」

インデックスがピアノを、店主がサックスを担当するらしい。
調律が狂っていないか確かめてから、ピアノを主旋律に演奏が始まった。

ゆったりとした曲調は、この店の静かな雰囲気を壊さず、滲み込む様だ。
聞いた事はないのでどの程度アレンジされたものかは解らないが、この店に合わせているのは解る。

『紅い雲が西から流れていくこんな夜には、優しさなんて邪魔なだけにも思えるから』

これも初めて耳にしたが、これが弾き語りというものか。
外界の娯楽に疎い私が親では、彼女達の教育者には不足だと確信させられる。

『君の胸の中。この手を伸ばす事ができるなら…………そんな事を思うよ、独りぼっちの部屋で』

インデックスの歌声が耳に心地よい。
これほどの店が、なぜもっと評価されないのか。
店主も穴場などという評判に甘んじていないで、もっと自信を持ってアピールして…………
いや人気が出ていれば貸切は出来なくなっていただろうし、私達も来られなかったか。

気付けばみんな、それぞれ本を読む手を止めていた。
プロの演奏を聞いた事はないので断言できないが、プロと言うほどの腕前ではないのかもしれない。
あの店主からは趣味人のような空気を感じるし。
だが楽しんで演奏しているのは伝わってくる。


やがて演奏は終わって、店主がサックスから口を離した。
満足そうな顔でちょっと失敗したと笑う彼を見ながら、私は拍手を送った。
何故か焦った顔になった。褒められる事に慣れていないのかもしれないな?

「ありがとう」

降りてきた店主に礼を言う。
あの2人も満足したようで今度は大人しく本棚を眺め始めた。

「所詮は趣味だからね。何度か失敗してたさね」

『謝罪を要求しているのですか、マスター』

「誤解さね、インデックス」

エプロンを付け直しながら店主とインデックスがじゃれている。
本当に仲のいい様子に、つい笑ってしまった。

そして決めた。

「あの子達はまだ人に不慣れな部分があってね。また今日のように貸切を頼めるかい?
 もちろん、その分の代金は支払うつもりだよ」

「大丈夫さね。予約はずーっと先までないし、ねえインデックス?」

『マスターの趣味のようなものなので、副業との兼ね合いさえ問題がなければ大丈夫だと判断します。
 更に言えば、予約は友人達の誕生日にしか入っていません』

「あー…………まぁ潰れない程度に頑張るさね?」

『マスター。このお店の経営状況は完全にトントンだと記憶していますが?』

「副業を増やそうかねー?」

『…………と、このように非生産的な方なので、貸切の件はまったく問題ありません』


まるでコントのような会話に、またしても笑ってしまった。
これは是非とも通いたいものだ。
しかし、店主の小さな言葉が耳に入れば、それは中断せざるをえなかった。



「ただ、来る前には必ず連絡を入れてほしいさね。貴方を通報するつもりはないけどね、
 捜査官とか戦技教官とか執務官とか、本局の局員も来る店だから」



なんと。彼は私が“ドクター”の通り名を持つ次元犯罪者だと知った上で、客として扱ったのか!
この店に来てからかなりの時間が経過しているが、未だに局員が来る気配は無い。

外に出てしまえば、高いステルス性能を誇る娘の固有技能を使い待ち伏せを回避できる。
だが、私の勘が訴えてくる。この店主は私を知りながらも通報などしていないのだと。

『私もマスターも、できれば自首をお勧めしたいのですが…………無理でしょうし』

「今日、お店に来たのは娘思いのお父さん。そうだよね?」

悪戯っぽく笑う店主に、呆れた顔のインデックス。
…………まいったな。これは。

「いいのかい? あの子達は戦闘機人だ。僕が頼めば、君を捕らえる事も容易いのだがね」

「するのかね? 本当に? 今から?」

「ふふ、面白いね、君は。本当に興味深い。この状況で怯えもしないとはね」

「まぁ昔っから身体を上下に切断されたり背中から刺されたり訓練で魔力ダメージだけのはずが
 衰弱死しかけたりって死神とは顔馴染みだしねー…………と言うか思い出して凹んださね……」

「…………君も大変な人生のようだね」

不敵な顔が、段々と沈痛なものに変わっていって、ついに泣き出した店主を見ていると
何故か私まで泣きたくなってきた。思わず慰めてしまうほどに。

…………まったく度し難い。本当に。

不思議と店主を信じている自分がいるのだ。
それも確信に近い。予感めいた確信が。

計画を進めていく上で、彼の身内とやらが関わらない限り、彼は中立を貫くだろうという確信が。
それも私達の事を秘密にしたままで敵となるだろうという予感が。


「君の名前を教えてくれないか?」


「弓弦。燕条 弓弦。この店の店主にして、ただの騎士さね」


後になって思えば、これが私の、初めて友と思える人との出会いだったのかもしれない。


◆


任務を終えて、久しぶりの休暇でこっちに帰ってきたフェイトちゃんと、私の仕事が終わった一緒に
弓弦さんのお店に行こうって話しになったんだけど、今日は貸切だからと断られてしまったのが昨日。

はやてちゃんは部隊の設立を目指して忙しいらしくって、休みが取れなかったみたい。
私も人の事言えないけど、福利厚生ちゃんとしないと、また担当の人が泣いちゃうよ?

『らしいっちゃ、らしいけどね』

「根回しとかはカリムさんやクロノ君が殆どやってくれてるみたいなんだけどね」

スカウトに専念できるってはやてちゃんは言うけど、フリーの人ならともかく殆ど全員が何処かの
部隊に所属しているわけだし、そういった場合は本人の意思と隊の状況も話し合わなきゃ駄目だから。
私やフェイトちゃんみたいに即答ってふうにはいかない。

通信モニター越しに弓弦さんと話しているけど、窓の外の景色からしてもう数分で到着する。
という事は、かれこれ20分くらい話しているという事で。

「弓弦さん。暇なの?」

フェ、フェイトちゃん? それは直球すぎないかな?
ほら弓弦さんも微妙に凹んでるし!

けど、こうして友達と一緒にお店に行くのも久しぶり。
特に執務官のフェイトちゃんは、直接顔を合わせるのも3ヶ月ぶりくらいだし。
本当に、弓弦さんが止めてくれるから無理せず働けてるって思う。

と言うか、どうして私達の有給や代休が溜まると、本人より先に弓弦さんに報告がいくかなー…………

『それが嫌ならちゃんと有給も代休もちゃんと消費するさね。8ヶ月分も貯められたらそりゃ泣くさね?』

陰で仕事中毒者なんて言われてるんだしね、と続けられた。
ちゃ、ちゃんとしなきゃなーとは思ってるんだよ?
ただちょーっとキリが悪いと言うか、何と言うか…………

『折り合いつけるさね』

「「ごめんなさい」」

フェイトちゃんと声を揃えて謝る。
楽できる所は手を抜けって、弓弦さんがさくさく片付けてくれるから最近はちゃんと休めてる。
それはフェイトちゃんもはやてちゃんも同じ。

それが弓弦さん。
私達の騎士。

「ふふっ」

「あはは」

きっとフェイトちゃんも同じ事を考えてるはず。
そして同じように胸の奥が暖かくなってる。
顔を見れば解るよ。


私達は大切な友達で、同時に好敵手なんだもの。


『あ。エリオー、キャロから通信さねー!』



ただ、相手は物凄い鈍感さんで強敵なんだよね…………



◆



あとがき。別名:ずっと俺の嘘。


羽:登場異常もその後日談もすっとばして、いきなりStSに。
  どう考えても遊びたかっただけです。本当にありがとうございました。

律:登場異常を完結させないと表に出てない設定が出てくる事になるけど。

羽:だが断る。ぶっちゃけ登場異常は9話からシリアス展開だから鬱なんだよ。

律:まぁいいけどね。別に。けどあんまりやりすぎると『最強物』とか『チート』とか言われるよ?

羽:もう言われたから大丈夫。


律:ところで内定取り消しくらったらしいけど?


羽:それを言うなぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!


2009年1月27日。